クラゲのエッセイ第3集

「クラゲ楽 〜jfish ML エッセイ綴り その3

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 本エッセイ集は,クラゲについてのメーリング・リスト(jfish ML)への投稿エッセイを纏めたものです。jfish MLのメンバーは30名と少ないのですが,1999年1月中旬にこのMLは発足し,まだまだ日が浅いのですが,すでに千以上のメールが配信され,活発な活動が行われています。なお,メンバーはクラゲのプロアマと非常に多様です。

 そのようなML交信のなかで,気儘で無責任なリャッシー氏の提案により,クラゲエッセイ集の出版が計画されました。

 本エッセイ集には,先のエッセイ第1集と第2集に引き続き纏められたものです。宜しくご覧下さい。



101 墨を吐くクラゲ[jfish:3/15 10:15]  ドリメジュ(1999年3月15日)


軟体動物のイカやアメフラシが墨を吐くのは良く知られているが、
クラゲの墨はきは信じられない方も多いのではないか。クシクラゲ
にそんな芸達者なものがいる。ドリ−は2度そんな光景に出くわした。
イカの墨をみたことおありだろうか。南紀白浜には春から夏によく
アオリイカをみかけるが、かれらが直接墨を吐くところや吐かれた
墨を海岸で見れる。かれらの墨はダミ−で、黒いかたまりを影武者のよう
に出現させ、本体はあっというまに姿をくらますのだ。アメフラシの方は
逆に墨流し方式、サラ−とした紫の墨を煙幕のようにたれ流す。イカのように
すばやい行動は不能なかれらならではの目くらまし法だ。
で、われらがクラゲの墨はどうか、ドリ−がみたのは沖縄本島瀬底島
と日本最西端の与那国島の2個所で2種のクシクラゲである。最初の体験は
初めての出会いで、興奮を覚えた。報告例のなかった種であったので
学会誌に記録した。後者はすでに日本でも外国でも報告済みである。
いずれにしろしょっちゅうお目にはかかれないようで、あの驚きは忘れられない。
か弱きクシクラゲにソフトタッチするやいなや、シュワ−と吹き出すヨ−ドチンキ
色の煙、何度も繰り返し吹き出す。写真にもなんとかおさめた。成分や
その効力は未知だが、広い海の中でかれらも身を守るべく努力しているのだ。
透明な体から吹き出す色付きの煙、めくらましでもダミ−でもなく、それは
いやがらせのおどしの方式に違いない。


102 グル−プの偏り[jfish:3/18 8:41]   ドリメジュ(1999年3月18日)

種の定義を信じるも信じないも形態の多様性が厳として人間が
区別できているのは確かとすると、クラゲたちの分類に
大きな偏りがある。それは何か?強力な刺胞で、人も殺される
ので有名な箱虫綱(=立方水母綱)たちがマイナ−な存在であること。
世界でたった20種程度しか種分化していない。20でもこれを
多いとみることはちょっとまってもらう。箱虫綱にたいして、
親戚筋の2群では、鉢虫綱がその約10倍、ヒドロ虫綱だと
クラゲを遊離しないものを含めて100倍以上、まったく
クラゲ世代のない花虫綱でもゆうに200倍はこえる。
クラゲの機能はまさに有性生殖のためだから遺伝子の交換と
分散が有効にできればクラゲを多彩にするのは効果があるのだ。
それなら箱虫綱はこの生物としての基本的なことが弱いの
だろうか。
ここで進化を溯ってほしい。みんなもともとは
たったの1種だったのが正しいとすると、それが強力な
神のような存在で全能であればなんも進化してあれやこれやと
試行錯誤することもない。とすると花虫やヒドロはかよわき、
努力家なんかといとおしく、また姿形を変えて生き続けよう
とする逞しさがみえてくる。
そうだったんだ、箱虫たちはすぐれた存在だったのだ。
生きた化石だとか遺存種だとかレッテルを貼って、
太古から変わらない保守的な生物を人はあなどりがちだが
みかたをかえればまったく逆の立場となる。



103 続・グル−プの偏り[jfish:1508]   ドリメジュ(1999年3月18日)


何がまずもって偏っているかというと、刺胞動物の中の花虫綱の生き方だ。
もっともよく種分化したのは確かだが、クラゲの世代をまったくつくらなかった。
イソギンチャクやサンゴあるいはウミトサカやウミキノコでおなじみ
の分類群。単体で巨大になり、魚のクマノミさえ住まわせる
イソギンチャク類がいるとおもいきや、石のような骨格を形成し、
巨大群体となるイシサンゴ類。海の底に生きるものだ。
これらいわゆる花ポリプに比べて、微少極まりないのが、
箱虫綱のポリプ、自然界からはまずはみつからないだろう。
既知の例は少ないが、みな単体である。しかも、数少ない触手の先に
たった1個の刺胞を装填しただけの肉食動物。しかもクラゲになるときは
、おなじみの鉢虫綱のポリプのように体の一部をちゃんと残しておく芸当はしない。
つまり、”完全変態”。箱虫綱といえば、凄腕のクラゲと思ってはいけない。
ポリプという子供時代がなんともひよわいのだ。このため、花虫綱など
他のすべての仲間から進化に遅れをとったと考えられる。アキレス腱
はあるものだ。
ところで、進化はもともと矛盾から成り立っている。生き物は元来保守的で、
遺伝子さえも忠実に複製するのが常だ。人間の親子だって目に明らかなのは確か。
なのに同じ仲間でもなんで偏りをもつほど変化しないといけないのか。
同族あい争わぬとすれば、敵は予測もつかぬプレデ−タたち。クラゲもポリプも凄腕の
かれらといえど上には上がいる。化石に記録されなかった主人公も実は膨大かもしれぬ。

 

104 漂うことへの憧れ [jfish:1564]
   −クラゲへ,ある底棲生活者から−  リャストナイ(1999年3月20日)

人間は大気の底で生活している生活者です

ですから,鉛直的行動能力が低いんです
たとえば,10kmの水平距離は自力で到達できますが
10kmの高さまでジェットエンジンを利用してやっと行けるくらいです
ですから,人間は底生生活者と言って良いでしょう

しかし,水平的な生活行動範囲も広くはありません
自力ではせいぜい数10kmどまりです
昔,自動車などがない時代は隣の町まで出掛けるのが大変な出来事でした
地区や部落が川や山で隔てられ人の行き来は余りありませんでした
その時代,地域の中で充分に暮らしていけました
しかし,現代では情報が飛び交い,交通は行き届き,一見そのような垣根が取
り払われたようにみえますが,まだまだ人間の意識の中に地域の垣根は生きて
ます
鉛直方向だけでなく水平方向にも強く制限されているようです
やはり,人間は底生生活者です

くらげは浮遊生活者ですよね
水に浮かんで生活してます
クラゲには水平方向と鉛直方向の移動にそれ程の違いがないようです

クラゲを見て,ストレス解消するのはクラゲにそんな束縛がないからでしょう
雲も似たようなものでしょうが,生き物ではないので親しみがちょっとない
ですよね

クラゲのように空にポッカリ浮かんでいたいですね
出来ることでしたらね


105 連句  [jfish:1553]              リャストナイ(1999年3月20)

  月出でて クラゲが遊ぶ 凪の海

  凪なれど 今宵は十二夜 潮を待つ

  潮に住む クラゲの気持ち 未だ分からぬ

  クラゲをば 人は昏気と 呼びにけり

  クラゲをば 海に月と 誰か詠む

  海に月 蟹は静かに 泡を吹く


106 クラゲとサル[jfish:1602]      ドリメジュ(1999年3月22日)

骨を抜かれた例の御伽噺に関わる話しをするのではない。この二つの分類群に
世界に広がった共通の性質があるのが常日頃不思議に思うドリ−。
海と陸での一生、まったく月とスッポンの姿形の相違があるのに両者は世界の覇者!

おとなしいサルたちは今や地域に閉じこもりがちだが、それに比べ
驚嘆すべきは人間の移動能力。原始人もびっくりの現代の粋を集めた
ジェット機使用能力はともかく、世界中で人が住んでいないところはない。
地上を分割して国家を形成し、大分け3品種が、
ご先祖様を同じくして分散してきた結果だ。そして仲間のサルたちを自分の国へ見世物に
引きずって来る。こうして仲間のサルたちは好むと好まざるを得ずして広がりゆく現代の
バイテクならもう自然の本来のすまいはわずらわしい。

これに対して、自身の移動能力はわずかだが、地球のさまざまな流れに乗り、
長大な時間をかけてクラゲも世界中に住む。クラゲのようにどこへいっても必ずや
存在する大型プランクトンはそうざらにはいない。海岸や港、
はたまた沖合いの外洋でプランクトンネットを引いてみるがいい。
それはそれはいろんなクラゲが取れている。もしとれないところがあったら、それは
ポリプに姿をかえて漂泳しているのだ。他の生き物の腹にはいっているのかもしれない。

クラゲとサル、存在様式も生き様もまったく違えど世界中に広がったツワモノ。
こんな強者の共存を許す地球のキャパシテイが他の覇者も含めて
限度を超えないといいのだが。今やサル人間の手の届かないところは希少。
食べ、排泄し、産み殖えてゆく各々のサイクルのネットワ−クがどっかで
プッツンしてドミノ効果が現れないように。


107 クラゲは眠るか?[jfish:0557] ドリメジュ(1999年2月16日)


自問自答、へたな考え休むに似たり、かもしれないが、まあ、ちょっと
眠たい方、眠くない方、お付き合いを願いたい。
結論からずばり述べる。クラゲに睡眠は必要ない。なぜなら、彼らには
脳がなく、記憶もないし、勿論、夢も見ない。浮遊性なので、海中で体の
重さを頑張って支える必要も無いので、疲れも知らない。夜も昼も活動を
しているはずだ。その活動は、餌取りであり、呼吸であり、排泄であり、
循環であり、生殖活動であり、長生きへ向かう筋肉運動なのだ。
ハチドリのように、四六時中、食餌せねばならない慌ただしさはなく、
流れのままに悠然とたゆとうのである。
まてよ、流れに乗っている時は
触手を縮め、傘を広げてパラシュ−ト型で休息しているが、この時は
眠れるチャンスか? でも、寝入ってしまったら流れがなくなった
のをどう感知するのだろう。あれれ、疑問が湧いてきた。回遊魚のように、
遊泳をゆっくりにして、泳ぎながら眠っているんじゃないか。とにかく、
人間のようには熟睡する必要に関しては、疲れを知らない体で、脳のないクラゲゆえ
身に付けていないだろう。ドリメジュのトレ−ドマ−ク、サカサクラゲが脳裏をかすめた。
彼らは普段は泳がないので、例外だからちょっと考えないでおこう。
クラゲに発信機をつけて、行動を調べる夢が浮かんだ。超小型の
精密機械をちょっとピアスにして、衛星で、クラゲ君の軌跡を追求しよう。



108 今朝の海は[jfish:4/6,9:48]     リャストナイ(1999年4月6日)

 今朝の海は異様にざわめいています
 暖かい南風が吹きつけ
 激しく小波がはしり
 大きなうねりまでも

 昨日見つけた大きなカミクラゲはいません
 ウリクラゲも,ミズクラゲも,みんないません
 こんな時は 海の底でじっとしているのでしょう
 小枝片が波にもまれて 生き物のように見えます

 今朝の海は異様にざわめいています
 春の日に海面がきらきらと光ってます
 なんだか心落ち着かない海です
 クラゲ達も 他の生き物達もきっと落ち着かない気持ちでしょう



109 進化[jfish:4/11,6:15]       ドリメジュ(1999年4月11日)


昔からの習慣はときとして頭をもたげるもの。それも
多忙なときに多いのは、転位行動なのだろう。
「進化は変更だ」と当たり前のことを自分なりになぜか納得した。
多分、このところ実習でいろんな多様な海洋生物を次々とみて、
学生達とも、またちょうどその時に来所されておられた
寄生性コペポ−ダの系統分類学の第一人者のHo先生に
有益なお話を伺えたことが引き金になっている。
変わらない性格をもった生き物が変わってゆく、あてにならぬ
突然変異を持ち出さなくとも、たしかに有性生殖で誕生した
新しい発現がその可能性を試されている。

生き物たちに、”もうこれで完成だ”ということはない。恒に
変遷していく定めだ。

ところで、自分自身もずいぶん変わったゆくのに気づくのは
幸いなのか。地図さえない旅、これは人生だが、設計図は
傷めたことはないが、組み込まれたコメンザルアダムの
なせる業なのか?

ヒトゲノム計画の完了が待ち遠しい。クラゲゲノム計画は
何時の日か知れねども、早く来るはずだ。進化の謎を究明したいのは
人間のル−ツによせる想いが絶対にそうささざるを得なくなっている。
そのような行動は、実は既に組み込まれたものだから。

すべては御手の上の出来事。くらげのようになんもかも透き通そう。
でも反抗したい。深みにはまって黒い部分、そうベ−ル、
神秘のベ−ルははがしたくもはがされたくもない。



110
 マミズクラゲの観察ノート 1999年1月29日

                    リャストナイ・上野

 マミズクラゲの出現報告をします。1998年の夏から秋にかけての話です。下関市近くのダム湖とため池に結構沢山のマミズクラゲが出現しました。調べた30ほどのうち僅かに4つに出現したのですが,そのうちの2つは300mほどの距離をおいて隣り合っており,分布のつながりがあるかも知れません。しかし,これらの間には低い峠があり,水系が違っており,水の流れで運搬された結果ではないようです。運んだのは風でしょうか,鳥でしょうか。この答えは風の中のようです。

 なぜ,今頃マミズクラゲの話をする理由は全く個人的で今やらないと忘れてしますからです。皆さん,付き合って下さい。

 マミズクラゲといいますと,幻のクラゲのイメージがありますが,よくよく探すと身近に結構にいるものです。今年の夏は皆さん,チャレンジして下さい。飼育は数日しかできず,難しいようです。マミズクラゲがなぜ幻かといいますと,数日前にいたはずの池に再度発見できないことがあるからと思っております。神出鬼没と言われています。小さいですし,池の透明度も低いのも幻の原因でしょうが,人家に近い淡水に成育するのですから,本来はよく知られているべきクラゲのはずですが。また,非常に地味なクラゲで,このことからすると外敵が多い環境に成育しているのでしょう。

 なぜか纏まらない,マミズクラゲの話でした。


111 クラゲも時にはベジタリアン?  1999年1月31日

                        リャストナイ・上野

 皆さんは,クラゲは完全な動物食だと思っておられますよね。じつは,植物プランクトンを食べていることがあるし,多く食べる種がいることに最近気付きました。皆さんも,飼育中などに気を付けていて下さい。

 その一つは,ミズクラゲで胃から珪藻が検出されています(Matsakis & Conover; 1991)。また,北洋などで植物プランクトンが大量発生(ブルーミング形成)しますと,クラゲの胃中は殆ど珪藻となります(上野;未発表)。どちらも消化について確認されてません。

 クラゲも時には菜食するようですね。まさか,恋の季節と関係するとか。または健康のため?

重たくも軽いクラゲの話題提供でした。



 


112 インタ−ネットとクラゲ[jfish:4/18:9:42] ドリメジュ (1999年4月18日)

クラゲはネットでとるが、人間の心などををつかみとるネットもある。
それが今や全世界的規模で拡大中のご存知インタ−ネット、人の心の中への
インタ−どころか、ありとあらゆる以下の者たち、即ちパソコンと電話回線、
そして裕福なお金のある者たちへ、ほぼリアルタイムにて文字と
画像を中心とした(音声も直に)、錯綜とした会話が飛びかっている。
利潤追求、特ダネ、などなど生き死に関する重大情報を
取り扱う者は、おちおち夜も眠れまい。
これに対してまったく受け身的な流れ流れてのクラゲは、
インタ−ネットなんかでわれらクラゲはすくえへんでと微笑んで
たゆとっている。



113「チチ松村氏の音楽」

  あん(1999年1月31日 [jfish:4/18,15:33],推敲2000.7.1)

  〜クラゲを愛するミュージッシャンに捧げる〜

       チチ松村氏のアルバム「キット」中の「My jellyfish」は
       暗い曲です。クラゲは「昏気(くらげ)」ともいわれており,
       クラゲを暗く表現したチチ松村氏の感性に強く共感を覚えました

  強く張った弦が語る安らぎは なんなのですか
  緊張は極限まで高まって 柔らかいやさしさが解き放たれる

チチ松村氏の音楽は 映像のない音楽
チチ松村氏の音楽は ほとばしる音の戯れ
    宝石の風景が 車窓に流れ 
    私は美術館の 絵画を 眺めています

チチ松村氏の音楽は 主役不要のシナリオ
チチ松村氏の音楽は 解き放たれた命たちのきらめき
    無邪気に広がる 音の創造
    小学校から児童たちの合唱が 聞こえる

チチ松村氏の音楽は 幾多の命たちのささやき
ひとつひとつの音は生きる証 かけがえのないもの

    解き放たれた音の海を クラゲたちがゆったりと泳いでいる



114 出会いと別れ[jfish:4/19,6:57] ドリメジュ(1999年4月19日)
      〜人間的なあまりに当たり前だが厳しいこの真実〜

この世に一体いくほどの組み合わせがある
だろう。すべて、偶然と必然のおりなす業だが、これをしっかり
対処しないととんだ人生行路となる。それもまた運命だが。
ひとは、それが運がいいとも
わるいとも納得する。そう妥協しないと生きて
いけない。すべての出会いと別れは、決して
日常茶飯事のことですまさず、奇跡的なもの。
瞬間、瞬間が大切。会うは別れのはじめといえど、
みな人生の旅だ。

流れ流れてどこどこゆくくらげににかよった
流れ行く人生航路だが、愛と礼節をもって尊敬し合って
生きていこう。くらげのこんなマナ−って本能的にきっとあるに
ちがいない。ともぐいをしないことや相手をとことんやっつけない。
まてよ。現実は厳しい。生存に命がかかっているので
愛あるひとのように、ゆうちょうなことはなさそうだ。
野生の掟を人はどうみるか?畏敬それとも呪い。



115 クラゲと水族館とクラゲメ−ル会員の増加[jfish:4/20,17:59]
                   ドリメジュ(1999年4月20日)

今や水族館でくらげが普通になった。アニマルテラピ−とかで
たゆとうクラゲたちはかっこうの好適な生き物なのだ。

クラゲを飼育展示したことでよく知られるのは江ノ島水族館、
ドリ−が学生の時にすでにその地位は確固たるものだった。
そこから送られてきた珍しい、大型の美しきヒドロポリプから
遊離したクラゲを観察させて頂いた経験が懐かしい。同窓者の
大先輩がそこでご活躍で、何度かおたずねしたこともある。
また、何人もの先達がそこでのくらげ学発展のために何かと
関与されたことも老舗たる地位への大きな貢献であったろう。

最近、江ノ島水族館付近でわれらのクラゲメ−ルの集会があり、
大変お世話になったのも、縁があるとしかいいようがない。
メ−ルの会員も会員になるにあたってそこでクラゲに開眼された方が
多いのは事実だ。でも、本会員には各地の有名な水族館の
クラゲの担当者がメ−ルの往信を楽しまれている素敵な事実がある。

メ−ル会員の集会はこの会が最初ではなかったが、あちこちでいろんな
規模で計画・実行され続けており、誠に結構なことである。今後も
自主的にどんどん発展するだろうし、くらげの音楽会や歌まで造る楽しい
計画も進んでいる。観察・採集・撮影会に加えてもりだくさんで
親睦が深まるに違いない。

ところで、あれこれの図鑑などではさまざまなくらげたち
が紹介されているし、あまたのビデオでも鑑賞できる時代だ。また、会員
の腕によりをかけたHPでのご披露、すばらしい。
しかし、そのものズバリの、生きた水族館でのご対面はなんといっても
上手に愛されて飼育されたものであれば、クラゲに興味をいだく絶好の
機会を提供するのであろう。手痛く刺傷するクラゲは実は数は少ないのだが
水族館ではタッチはむりだが(ふれすぎると火傷させるとの
先達の名言あり)、横から上から下からなどとショ−タイムである。



116 クラゲ野外観察報告 [jfish:4/21,10:45]   リャストナイ(1999年4月21日)
      〜ボウズの観察報告から〜

4月20日

 今朝の下関地方は殆ど快晴,微風

 いつもの前海の透明度3m以上,ですが
 クラゲを発見できず

 稚魚は多数,波はヒタヒタ,白と黄の菜の花が満開
 それに,ヒバリの声
    欠伸がでそうなリャッシーです(4月病かな?)

4月21日

 今朝の水産大学校前海で クラゲ いない!
    水温15度,晴,凪,微風,透明度4m以上

 念力を込めて,
  「クラゲさん クラゲさん 出ておいで
   でないと お月さん 消しちゃうぞ

   クラゲさん クラゲさん 出ておいで
   でないと ミジンコさん 取っちゃうぞ

   クラゲちゃん クラゲちゃん 出ておいで
   でないと 海に オシッコやっちゃうぞ!」

     (一部マナー違反がありましたことを,
      訂正せずにお詫びいたします。紳士のリャッシーより)



117 ドリーさんとの出会い[jfish:4/21,22:03]
                    リャストナイ(1999年4月21日)


 ドリーさんこと,ドリメジュさん,この意味は「ドリームメデューサ(夢
にまで見たクラゲ)」とのこと,本名「久保田 信さん」との出会いとその
後についてお話しします。

 出会いは,1995年7月アムステルダム郊外で行われた国際腔腸動物シンポ
ジウムの会場でした。彼はチレニアイガイの外套膜に住処する2種のヒドロ
クラゲ(カイヤドリクラゲとコオハクラゲ)のポリプからクラゲの遊離が天
候に関わらず一日の時間帯で僅かにずれていることをポスターで発表してい
ました。私はクラゲを研究し始めて,まだ僅かに数年しか経ってなく,アン
ドンクラゲしか知らないクラゲ研究の初心者でした。ですから,カイヤドリ
クラゲも知りませんでしたし,二枚貝中にポリプが棲むことなど全く知識が
ありませんでした。ドリーさんは,そんな私の素朴な質問に丁寧に答えて下
さいました。ドリーさんは,オランダで初対面した日本のクラゲ研究者だっ
たのです。この時の初対面者は,柿沼先生,三宅さん,豊川さん,まだ他に
数名おられました(お名前を省略して失礼)。要するに,私はオランダで日
本のクラゲ研究者と初めてあったのです。

 この時のことは,反対の立場からドリーさんが本クラゲエッセイに「リャ
スさんとの出会い」と題して書かれてます。よって,重複するところは省略
しましょう。

 ドリーさんは,オランダで出会った翌月下旬に下関を訪ねられました。勿
論,ご自身のカイヤドリクラゲの研究が目的でしたが,私の研究を実際に自
分の眼で確認に来られたのです。私は今までにこの様にクラゲ研究者が見学
に来られた経験がなかったので,非常に光栄に感じ,アンドンクラゲの実験
などを見て貰いました。その時に,平衡石の摘出法へのアドバイスを頂いた
ことはその後の研究に非常にプラスになっています。しかし,是非とも見た
いといわれていたアンドンクラゲの集群をお見せすることが出来なかったの
は残念でした。その時に,「クラゲ個体群に影響しないようなサンプリング
を考えたいですね。」と言われたのが非常に印象に残ってます。確かに私は
2週間に一度,数百個体のアンドンクラゲをその当時採集してました。そし
て,その影響を全く考慮していなかったのです。ハッとさせられた思いでし
た。

 その後親密な交流がつづき,共著論文まで書くことが出来ました。また,
このjfishではいつも配慮して貰って,沢山の投稿を頂いております。jfish
は発足して4ヶ月がたち,会員も増加しましたが,一日に飛び交うメール数
が50通前後で40名足らずの会員では驚異的に多く,これはひとえにド
リーさんの貢献によるものに他なりません。エッセイ集にも多くの投稿を率
先して行っておられます。

 来る5月には白浜の臨海実験所でドリーさんがホスト役を務められる「刺
胞動物の勉強会」に参加することを楽しみにしています。ドリーさんとのま
た新しい研究の展開が始まりそうです。

 新たなる発展を予感してこのエッセイを書きました。



118 クラゲになるには[jfish:4/26,19:52]リャストナイ(1999年4月27日)

 皆さんは全裸で海で泳いだことがありますか。私は若い頃によくやりま
した。実に気持ちいいものですよ。お風呂に入るつもりで,海に入れば良い
のです。沖に泳ぎ出て,浮きなどに水着を結びおいて,泳ぎ漂えばあなた
はもうクラゲです。

 クラゲになるには全裸で泳ぐことです
 全裸で一度ゆっくりと泳いでみて下さい

 人間は知恵という衣を着た生き物です
 地球上で唯一の衣を着た生き物です
 知恵の衣を脱ぎ捨てて 海水に浮かぶと
 きっとクラゲになれますよ

 出来れば 夜の海を 全裸で泳ぐのが一番です
 すぐに 体が暗い海に吸い込まれ
 海の気が体を透過していきます
 海と一体化します

 昼の海でも充分です
 30分ほど浮き身をして
 波間を漂えば あなたの心はクラゲです



119 無言のクラゲ[jfish:4/28,22:23]   リャストナイ(1999年4月28日)


 無言をとおすクラゲの君へ
 君はjfishが好きなんだよね
 いつもメールを楽しみにしているんだよね
 しかし 君がやってることは無言電話と同じだよ
 君は無言電話を受けたことがありますか

 私は無言電話を受けたことがありますよ
 「もしもし?」
 「・・・・・」
 「もしもし?」
 「・・・・・」
 「あれ〜? なんだこの電話?」
 「・・・・・」
 「あれれ! あなたは誰ですか?」
 「・・・・・」
 「そうか! あなたは聞いているんだよ!」
 「・・・・・」
 私は この電話をテレビのスピーカの近くに放置しました
 そして 5分後には電話が切れていました
 あなたは誰だったのですか?

 君はなぜ無言のままなの?
 興味があるから 登録を続けているのだよね
 jfishはけっこう楽しいからね
 しかし 君がやってることは無言電話と同じだよ

 君は話をしたいからダイヤルしたんだよね
 君は話をしたいからjfishに来たんだよね
 クラゲは自分を語ることが出来ないけれど
 クラゲは隠れることなく 泳いでいるよ
 それで クラゲは語っているよ
 自分が生きていることを

 君だって クラゲが好きなら
 君が生きていることを
 jfishに語ってください

 私たちjfishの皆 クラゲが好きですよ


120 クラゲメ−ル会員の皆さん、スタンダ−ド飼育観察が
   クリアの暁には自分にしかできない種類のエキスパ−トになろう
         [jfish:5/4,16:56]   ドリメジュ (1999年5月4日)

なんだかながたらしく、教育的な?題ですが、おきにめしますやら?
みずくらげ、まみずくらげなど海水と淡水のくらげを
ひととおりかったあかつきには何がチャレンジブルかといえば、
それは人が飼ったこともない、見たこともない、世界で自分が
最もよく知っているようになれる種類に立ち向かうのがよい。わずか50人
であっても(いや、きっと会員はもっと増えるはずだ)、
それぞれが世界で初めてここまでもクリアしたんだと自負を
もって歓んで会員に紹介しよう、しあおう。おなじものを
違う方法や見方で飼育観察して競い合うのはよそう。くらげの
世界は多様だ。材料に事欠かない。ただ、とりつきにくい、見つけにくいだけ。
でも、やる気と根気と時間があれば大丈夫。世界で誰も手につけ
てないものはころころところがっている。ふれふれクラゲメ−ル会員よ。
情熱と興味はきっと新しい多くの発見へと導くだろう。でも、そうか。
二人三脚の方もいたんだあ。それはそれですばらしい。暖かい、
やさしい協力は強力だ。家族総出なんて最高だ。海にきらめく
宝石のようなくらげがみんなを待っている。