市立しものせき水族館「海響館」オープンラボ

April & May, 2002

 

クラゲの飼育教室

やさしいクラゲの飼い方」

 

独立行政法人 水産大学校 生物生産学科

 教授 上野俊士郎

 

 クラゲの体は柔らかく、水中をゆったりと泳ぎます。クラゲを金魚や熱帯魚と同じ方法で水槽で飼育すると、クラゲの体に泡がはいったり、吸水口に体が吸い込まれて、体が破損してしまいます。だからといって、なんの装置もない水槽に入れておくと、多くのクラゲは底に沈んで、ついには酸素不足で死んでしまいます。

 

また、クラゲは動物ですから、餌が必要です。飼育クラゲの餌としてアルテミア幼生が広く使われています。この卵はブラインシュリンプエッグとして熱帯魚店で簡単に入手でき、孵化させてアルテミア幼生を簡単に得ることが出来ます。クラゲがアルテミア幼生を食べると、多量のアンモニアを飼育水中に排泄します。食べ残しのアルテミアが死んで、バクテリアが繁殖し、飼育に不適な状態になります。飼育水をきれいにしなければなりません。

 

飼育のポイントは、クラゲをゆったりと泳がせること、適切な餌を与えること、飼育水をきれいに保つことです。

 

さて、クラゲをゆったりと泳がせるにはどうしたらよいでしょうか。クラゲの泳ぐ速さと同じくらいの水流を水槽に作ってやるのが一番よいのですが、これがなかなか難しいのです。もっとも簡単な方法は、クラゲより少し大きな浅い水槽にクラゲを入れることです。クラゲがこの中で泳ぐと水流が出来て、クラゲの体がひとりでに浮かびます。底が丸い水槽が、水流が出来やすいので、いいですね。

 

飼育水をきれいに保つにはどうしたらよいでしょう。熱帯魚飼育ではろ過装置を使って、飼育水を浄化しますが、吸水口にクラゲが吸い込まれないなどの維持管理が大変です。飼育水をきれいにするもっとも簡単な方法は、飼育水を交換することです。水交換時には塩分濃度に注意しましょう。クラゲは浸透圧調整能力が弱いですから、河川水が多く混じっていると「水ぶくれ」になります。

 

以上のポイントをまとめると、底が丸い小さい浅い容器ですから、浅い手持ちグラスが第一に思いつきます。手持ちでしたら、自分の目の高さに持ち上げて観察もできます。ガラス面が丸いので、クラゲが拡大されて、細かな観察も出来ます。手頃な大きさですので、海水交換も容易ですし、容器の洗浄も簡単です。

 

ちょうど、右図のワイングラスのようになりますね。この容器で飼育できるクラゲは、各種大型クラゲの幼体、小型のヒドロクラゲ類などです。下関沿岸でこれらのクラゲも採集できます。お試し下さい